『あじわい』No.231(2026 SUMMER)に寄稿しています
2026.07.06
掲載情報
菓子資料室 虎屋文庫では虎屋歴代の古文書や古器物に加え、菓子に関わるさまざまな資料を所蔵しています。このコーナーでは、その一部をご紹介していきます。
作成者・年代不明の菓子見本帳(以下、見本帳)です。一般に見本帳は、現在の商品カタログのように使われたとされますが、こちらは、菓子屋が記録・参考として、他店のものなど複数の見本帳をもとに作成したものと思われます。描かれた菓子は381点。江戸時代中期のものに比べると紅色が目立ち、より華やかな印象なので、江戸時代後期以降の成立と考えられます。
上巻に羊羹・外郎や饅頭・餅などの主に蒸菓子、下巻に落雁・有平糖(飴菓子の一種)などの干菓子が収録されています。意匠、銘に加えて原材料の記載があり、なかでも珍しいのは、ごまめ糖に見える「銀箔」です。ごまめ糖は、おせち料理に定番のごまめをかたどった有平糖と思われ、ほかではあまり銀箔の使用例は見たことがありませんが、魚の皮の銀白色を表現するのに使ったのでしょう。芸が細かいですね。
※機関誌『和菓子』27号では、白黒で全頁を公開しています。菓銘、原材料の翻刻付です。是非ご覧ください。
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