『あじわい』No.231(2026 SUMMER)に寄稿しています
2026.07.06
掲載情報
菓子資料室 虎屋文庫では虎屋歴代の古文書や古器物に加え、菓子に関わるさまざまな資料を所蔵しています。このコーナーでは、その一部をご紹介していきます。

紙本墨画 134.0×33.0
虎屋文庫は本年、開設50周年を迎えました。そこで今回は、昭和48年(1973)開催の第1回虎屋文庫資料展「富岡鉄斎と虎屋」で展示した「墨龍図(ぼくりゅうず)」をご紹介します。

第1回虎屋文庫資料展「富岡鉄斎と虎屋」展示風景
富岡鉄斎(1836〜1924)は近代の画壇を代表する日本画家の一人で、後半生の43年間、虎屋京都店の近くに居を構えていました。当時京都店の支配人をつとめていた黒川正弘(1880~1948)と深い親交があったことから、虎屋では、数多くの作品を所蔵しています。
「墨龍図」は躍動感ある龍を墨一色で描いた、最晩年の作。「一筆に硯(すずり)の海を飛出でて、雲居に昇る龍ぞあやしき」という自作の和歌を添えています。

大正13年の大晦日に89歳(数え)で逝去した鉄斎は、その秋頃から、作品に「九十翁」の落款(らっかん=印のこと)を用い、はやく90歳に達したいと願っていました。墨跡の瑞々しさからもその気概が感じられるようです。

落款
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