『あじわい』No.231(2026 SUMMER)に寄稿しています
2026.07.06
掲載情報
菓子資料室 虎屋文庫では虎屋歴代の古文書や古器物に加え、菓子にかかわるさまざまな資料を所蔵しています。このコーナーでは、その一部をご紹介していきます。
柳下美人図(りゅうかびじんず) 530mm×2000mm
満月の夜、柳の揺れる水辺で涼をとる女性たち。大石真虎(おおいしまとら・ 1792–1833)による肉筆浮世絵です。名古屋を拠点に京都や大坂、江戸にも滞在し、多くの文化人と交流した画家で、浮世絵、本の挿絵などの作品を残しています。

女性たちのそばでは、少女が小さな炉で湯を沸かしていますが、これは「涼炉(りょうろ)」という煎茶用の道具です。江戸時代中期以降、煎茶趣味が流行し、抹茶を嗜む茶道とは道具や作法が異なる茶文化が広まりました。煎茶道具や喫茶の場面を描いた絵画も描かれるようになります。
また、この作品は表具にも特徴があります。裂(きれ)は女性の着物を思わせる鹿の子絞模様の布、軸は染付(そめつけ)の磁器でつくられています。白い磁器に青で模様が描かれた染付は、煎茶道具でも好まれた素材です。絵の内容にふさわしい洒落た趣向といえるでしょう。

「柳下美人図」は、2025年10月25日(土)からから11月24日まで、虎屋 京都ギャラリーにて展示しております。この機会に是非ご覧くださいませ。
虎屋 京都ギャラリー 虎屋所蔵品展「月あかりに照らされて」
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